
女性が罹患するがんの中で最も多いのが、乳がんです。罹患数は右肩上がりで、年間約10万人(*1)もの方が診断されています。罹患率は30代後半から上昇しはじめ、40代後半~70代前半に大きな山があります。その後は徐々に下降しますが、発症は決して少なくないので注意が必要です。
一方で、乳がんは早期発見できれば、生存率が高く、わずかな切除手術で乳房を温存できる可能性が高まります。定期検診を欠かさず、日頃から乳房に異常が無いか自分でも確認し、早期発見につなげましょう。
乳がんとは。最も多い初期症状はしこり
乳がんは、乳房の乳腺組織にできるがんです。進行すると、リンパ節、骨、肝臓、肺、脳などに転移することもあります。
乳がんの自覚症状の多くは固いしこりです。そのほか、進行すると乳頭からの分泌物、乳房のくぼみ、乳頭・乳輪のただれ、左右非対称な乳房の形、乳房の痛み――などが挙げられます。まずは、入浴時などにご自身で乳腺に触れてチェックする習慣をつけましょう。これらの異常を見つけたら、年齢問わず早めに乳腺科・乳腺外科を受診しましょう。
■セルフチェック(毎月1回)を習慣づけよう
①鏡の前で、乳房にくぼみなどが無いか目視確認
②仰向けで寝ころび、4本の指の腹で圧すようにしながら、しこりの有無を確認
③乳頭をつまんで分泌液がでていないか確認
*月経が終了した後に実施しましょう。
乳がんが発生する原因は?リスクの高い人はどんな人?
乳がんは、女性ホルモンとの関連が指摘されているほか、生活習慣、既往歴、遺伝的要因が、乳がんの発生リスクを高めるとされています。
下記の項目に当てはまったら、検診を欠かさずに受けましょう。
☐初経年齢が早い(平均初経年齢は12歳2か月)
☐出産歴がない
☐初産年齢が高い
☐授乳歴がない
☐飲酒習慣がある
☐運動不足
☐糖尿病
☐第一親等(親や子)に乳がん罹患者がいる
☐閉経後に長期間のホルモン補充療法をしていた
☐閉経が遅い(平均閉経年齢は50歳前後)
☐閉経後の肥満
乳がんの検査・治療
厚生労働省は、40歳以上の方に対して定期的な検診(問診・マンモグラフィ検査)を推奨しています。自覚症状が無くても、検診を必ず受けましょう。検診は、乳腺科・乳腺外科のほか、産婦人科でも実施可能な施設があります。
検査時の痛みが不安な方もいるでしょう。マンモグラフィの機械による圧迫時間は数十秒ほどで済みます。また、痛みを緩和するために乳房が張る月経前1週間は避けると良いでしょう。

乳がんの進行度(ステージ)は、がんの乳房の中での広がりや、しこりの大きさ、リンパ節転移、乳房以外の臓器への転移の有無などにより、「0期」~「Ⅳ期」に分類されます。
治療は、がんの進行度や性質に加え、本人の希望などを考慮し、医師と十分な相談のうえ決まります。手術が可能な状態なら、手術でがんを切除するのが基本です。

薬物療法は、妊娠するための力に影響を及ぼします。妊娠希望のある方は、事前に妊孕性温存療法(卵子凍結など)を併用するかなど、医師によく相談しましょう。
参考サイト
*国⽴がん研究センターがん情報サービス (参照日2026-1)

【監修にご協力いただいた先生】田中佑佳(たなか ゆか)先生
日本産婦人科学会 産婦人科専門医/日本生殖医学会 生殖医療専門医/日本スポーツ協会認定スポーツドクター/日本医師会認定産業医




