不妊に関する話題はセンシティブに捉えられがちで、周囲と話す機会はあまりないようです。しかし、実際は多くのカップルが不妊治療を経験しており、とても身近な問題です。今後、自分が不妊に悩んだり、周囲には不妊治療をしている人がいるかもしれません。不妊について正しい知識を身につけておくことが大切です。

「不妊」とはどんな状態をいうの?
そもそも不妊とは、どのような状態を指すのでしょうか。「妊娠を望む健康な男女が、避妊をしないで性交していたにもかかわらず1年間妊娠しない場合」や「妊娠を妨げる要因があり治療が必要な状態」が、不妊だと考えられています。
4.4組に1組が不妊治療経験あり
2022年に生殖補助医療(体外受精・顕微授精)によって生まれた国内の赤ちゃんは7万人超にのぼるとされています。同年に生まれた赤ちゃんの数は77万人超(※1)なので、約10人に1人の割合です。
また、夫婦の2.6組に1組が不妊について心配した経験があり、実際に不妊検査・不妊治療を行ったことのある夫婦は4.4組に1組にのぼります(※2)。不妊が身近な問題であることが伺えます。
※1 厚生労働省「2022年人口動態統計月報年計」
※2 国立社会保障・人口問題研究所「2021年社会保障・人口問題基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」
受診のタイミングは?35歳以上の人は早めに病院へ
1年間タイミングをとっても妊娠しない場合は受診を検討しましょう。ただ、年齢は妊娠率に影響するので、女性側が35歳以上であれば、妊活を3カ月~半年続けても妊娠しない場合は、1年を待たずに早めに病院へ行くのが良いでしょう。

不妊治療をすればすぐに妊娠できるの?
不妊治療は、妊娠までのメカニズムが自然妊娠とほぼ変わらない「一般不妊治療」(タイミング法、人工授精)、卵子と精子を体外で受精させ子宮に移植する「生殖補助医療」(体外受精、顕微授精)があります。とりわけ生殖補助医療に対しては「ステップアップすればすぐに妊娠できるだろう」と期待が寄せられがちです。
しかし、総治療周期あたりの生産率は40歳では約10%との報告があり、生殖補助医療をもってしても加齢による影響は避けられないと言えます。
もちろん短期間の治療で妊娠できる人もいますが、その一方で長らく治療を続けているカップルもいます。生殖補助医療は、保険適用の範囲が広がったとは言え費用が大きくなりがちで、かつ心身の負担もあり、治療に踏み切るのにハードルはありますが、高齢の場合は早期に治療を検討・開始することが妊娠を目指す上でのポイントです。


<監修いただいた先生>
田中 佑佳(たなか ゆか)先生
日本産婦人科学会 産婦人科専門医/日本生殖医学会 生殖医療専門医/日本スポーツ協会認定スポーツドクター/日本医師会認定産業医




