妊娠の基礎知識(医師監修)

「そろそろ子どもがほしいけど、きっと自然にできるだろう」――と考えている人も少なくないでしょう。「排卵」「射精」「卵子と精子の受精」「受精卵(胚)の発育」「着床」の全てのステップが上手くいかなければ妊娠は成立しません。そのメカニズムはとても複雑で、妊娠は当たり前にできることではなく、いかに奇跡的であるかが分かります。

妊娠の基礎知識

■射精
通常、1回の性交で腟内に放出される精子は1億個以上にのぼります。精子は卵子に出会うため、子宮頚管、子宮内を移動し、さらに卵子と出会う場である卵管を目指します。この過程で多くの精子が自然淘汰され、卵管まで到達できる精子はごくわずか。

■排卵
基本的に女性のからだは月に一度、成熟した卵子がたったひとつ、卵胞(卵子を包む袋のような組織)を破り卵巣から排出されます。これを「排卵」と言います。

■受精
卵子と精子が出会い、精子が卵子の周囲を覆う透明帯を破って突入すると受精が成立します。卵子と受精できる精子はたったひとつです。

■受精卵・胚の発育
赤ちゃんのもととなる受精卵(胚)は細胞分裂を繰り返して成長しながら、卵管を通って子宮へと運ばれます。この時、子宮内膜は受精卵を迎え入れるために厚くなっています。

■着床
受精卵(胚)が子宮内膜に安定的に接着(着床)すると妊娠成立です。着床から10前後で妊娠の反応がみられるようになります。
その後、妊娠初期・中期・後期と経過をたどり、出産は最終月経開始日から280日目(妊娠40週目)頃に迎えます。ついに、待ち望んだ赤ちゃんとの対面です。

妊娠検査薬を手に持ち、腹部を押さえる女性

月経周期が安定している人は、月経予定日から約1週間経っても月経が来なければ、市販の妊娠検査薬を使用してみましょう。検査薬は、妊娠すると分泌されるホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン、hCG)を尿中から検出し、妊娠判定を行う仕組みです。
検査薬を使用するタイミングについては、「生理予定日の約1週間後」が推奨されています。hCGの分泌量が大きく増え、多くの検査薬で正確な判定が出るとされるのがこの時期であるためです。
妊娠検査薬で陽性が出たら、必ず産婦人科を受診しましょう。子宮内に胎嚢(赤ちゃんを包む袋)が確認できなければ、すぐに処置が必要な子宮外妊娠の可能性も否定できないからです。

【妊娠成立しなかった場合は?】
妊娠不成立の場合、受精卵を迎え入れるために厚くなった子宮内膜がはがれ落ち体外に排出されます。これが月経です。
妊娠を希望し避妊していないにも関わらず1年以上妊娠しない場合は、妊娠を妨げる何らかの要因が考えられるため、不妊治療の病院やかかりつけの産婦人科へ相談にいきましょう。

妊娠自体はできても、必ずしも出産にたどり着けるとは限りません。妊娠した女性の10人に1.5人の割合で流産が発生すると言われており、特に妊娠初期は珍しくありません。
つい「仕事で無理をし過ぎたから」などと自分を責めてしまいがちですが、初回の流産は受精卵側の問題による偶発的なケースが多く、おかあさんの行動のせいではありません。
無事に出産に繋がることも奇跡だと言えるでしょう。

さまざまな色の星型のイラストが描かれています。
医師がクリニックの中でカメラに向かって微笑んでいる写真

<監修いただいた先生>
田中 佑佳(たなか ゆか)先生
日本産婦人科学会 産婦人科専門医/日本生殖医学会 生殖医療専門医/日本スポーツ協会認定スポーツドクター/日本医師会認定産業医

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