
妊娠前の健康管理「プレコンセプションケア」って?
妊娠していることが分かってから健康に気を付けることはもちろん大切ですが、妊娠前の健康状態が、妊娠・出産、赤ちゃんの出生後にまで影響することがあります。近年注目を集めている「プレコンセプションケア」は、妊娠前の男女にぜひ知ってもらい、取り組んでほしいヘルスケアです。
「コンセプション(conception)」とは「受胎・妊娠」の意味です。つまり、プレコンセプションケアは妊娠前の健康管理のこと。妊娠希望の有無に関わらず若い男女がライフプランを考えながら、生活習慣の見直しや検診、予防接種など日々の健康と向き合うことを促しています。
なぜ「プレコンセプションケア」が必要とされているの?
今、プレコンセプションケアが注目されている背景には、次のような課題の顕在化があります。
①リスクのある妊娠・出産の増加
20~30代女性における「やせ」(体格指数・BMIが18.5未満)の割合が増加傾向にあります(*1)。また、高齢出産(35歳以上)の割合は出産全体の約3割と上昇傾向です(*2)。女性の栄養不良などを背景とした「やせ」や高齢出産(35歳以上)は、妊娠経過や出産、赤ちゃんの健康状態におけるさまざまなリスクを上げる要因となる可能性があります。
②不妊に悩むカップルの増加
「月経痛は仕方のないこと」などと考え、つい放置しがちな月経トラブルですが、見過ごすと女性特有の病気の発見の遅れや不妊につながることがあります。
加えて、平均初婚年齢は上昇傾向にあり(*3)、年齢を重ねてから出産する女性の割合が増えていますが、妊娠する力は男女ともに30代半ば頃から低下すると言われており、国内では不妊に悩み体外受精など高度生殖補助医療を受けるカップルが増加傾向にあります(*4、*5)。個人差はありますが、不妊治療は少なからず身体的・精神的・経済的な負担が伴います。
③健康寿命
男女ともに健康寿命(日常生活に制限がなく、健康に過ごせる期間)と平均寿命(亡くなるまでの期間)に10年ほどの差があります(*6、*7)。開きがあるほど不自由な状態で過ごす期間が長くなってしまう可能性があるということです。
プレコンセプションケアに取り組むことで、これらのリスクを予防し、自分や次世代のより健康な未来が期待できます。プレコンセプションケア外来を設置している施設や、専門家によるカウンセリングサービスなど助言・指導を仰ぐことができる場もあるので、将来の妊娠・出産、健康に不安のある方などは活用を検討すると心強いでしょう。

まずは、出来ることから始めよう!
国立成育医療研究センターのが公表している「プレコン・チェックシート」を確認し、出来ることから始めてみると良いでしょう。

【参考文献・サイト】
※1 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査報告」(参照日2025-9)
※2 厚生労働省「令和6年人口動態統計月報年計」(参照日2025-9)
※3 厚生労働省「令和6年人口動態統計月報年計」(参照日2025-9)
※4 国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」(参照日2025-9)
※5 日本産科婦人科学会「2023年体外受精・胚移植等の臨床実施成績」(参照日2025-9)
※6 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」(参照日2025-9)
※7 厚生労働省「令和6年簡易生命表」(参照日2025-9)

【監修にご協力いただいた専門家の方】矢込 香織(やごめ かおり)先生
慶應義塾大学卒業後、大学病院の小児病棟、新生児集中治療室、産婦人科クリニックで看護師として勤務。大学院修士課程ではプレコンセプションケアをテーマに研究活動に従事。
そのほか、記者・編集者として医療政策ニュース配信会社に勤務後にフリーランスライターとして活動。主な制作物に、国立成育医療研究センターの『プレコンノート』などがある。現在はカップルのためのプレコンセプションケアカウンセリングサービス「Smart Nurse」を運営。東京都女性ベンチャー成長促進事業 APT Women 8期。HAKOBUNE STARTUP PITCH CONTEST 4th Batch ファイナリスト。




