
バランスの良い食事は性別や年代問わず大切ですが、特に妊活中や妊娠中の女性にとって、生まれてくる赤ちゃんと健康な日々を過ごすためにも意識したいことです。一方で、そもそもバランスの良い食事とはどのような食材を食べれば良いのか、自分にとっての適正量が分からない――という人も少なくないでしょう。この記事では、妊娠・出産に向けて意識したい食習慣や継続のポイントを紹介します。
妊娠・出産に向けて意識したい食事とは?
厚生労働省は、妊娠する前から「主食・主菜・副菜」がそろった食事を1日2回以上取り入れることを推奨しています。それにより栄養バランスが整いやすくなるためです(*1)。しかし、妊娠・出産を迎える人が多い20~30代の女性を中心に、こうした食事を習慣的に摂取できていない人が多いのが現状です(*2)
主食・主菜・副菜のバランスが大切~それぞれの役割とは~
【主食】ごはんやパン、麺などの 主食に多く含まれる炭水化物は、体を動かすための大切なエネルギー供給源です。「炭水化物=太りやすい・悪いもの」というイメージが抱かれがちですが、不足するとエネルギーが足りず集中力低下や疲労感につながるので、自己判断で極端に控えることはせず、毎食欠かさずとるように心がけましょう(*3) 。
【主菜】肉や魚、大豆製品、卵などを使った主菜は、筋肉や臓器、皮膚、髪など体の組織、体の機能を調節するホルモンや酵素、抗体などの材料になるタンパク質の供給源です (*4)。
【副菜】野菜やきのこ類、海藻類などを使った副菜は、体の調子を整えるビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含みます(*5) 。厚生労働省が掲げる「健康日本21(第三次)」では、1日の野菜摂取量を350g以上にすることを目標としています。 十分な量の野菜の摂取は高血圧や糖尿病といった生活習慣病予防などにつながることが期待されます(*6) 。

具体的にどのような食材を選べば良いの?
特定のものに偏らず、さまざまな食材を摂取することが大切ですが、「栄養面やコスト面、調理の手間を考えると、何を選んだら良いか分からない…」という人は、まず次の食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。
\管理栄養士の成島真理さんに聞いたおすすめの食材/
① 小松菜
小松菜は、野菜の中でも「カルシウム」が多く、「鉄」もほうれん草以上に豊富に含まれます。加えて、β-カロテン、ビタミンC、葉酸なども含まれます。葉酸は、妊娠前から妊娠初期にかけての十分な摂取量で胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減が報告されている、妊娠を考える上で欠かせない栄養素 です(*7)。
栄養価の高さのみならず、えぐみが少なく食べやすいほか、 年間通じて入荷量が安定しており(*8)、 手に入りやすいのも魅力です。
②卵
手軽にタンパク質を摂ることができます。和・洋・中問わずさまざまなメニューと相性が良く、取り入れやすいのがポイント。妊娠中は、妊娠前のタンパク質の推奨量から付加量(妊娠中期+5g/日、妊娠後期+25g/日)が設定されているので、手軽な卵を上手く活用すると良いでしょう(*9)。
※ 卵1個に含まれるタンパク質は約6gであり、肉や魚と比べるとやや少なめです。十分にタンパク質を摂るには肉や魚を使った「主菜」を意識しましょう。
③果物
果物にはビタミン、ミネラル、食物繊維などが含まれ、抗酸化作用や免疫機能の強化、便秘予防などに役立ちます。また、 厚生労働省が掲げる「健康日本21(第三次)」では、1日の果物の摂取量を200g以上にすることを目標に掲げており、十分な果物の摂取は生活習慣病予防にも役立つと言われています( *10)。
④魚
魚にはさまざまな種類がありますが、特におすすめなのは、スーパーなどで季節を問わず手に入りやすいサケ・サバです。 サバは、コレステロールや中性脂肪の減少が期待される 「DHA(ドコサヘキサエン酸)」と血液をサラサラにする働きが期待される「EPA(エイコサペンタエン酸)」といった必須脂肪酸が多く含まれます (*11)。サケは、魚の中でもカルシウムの吸収を助けるビタミンDの豊富さが特長です。缶詰なら手軽さ・備蓄性に優れ、中骨入りならカルシウムも補えます。
⑤ごはん
ごはんは、体や脳を動かすエネルギーになる炭水化物を豊富に含みます。パンや麺類といった他の炭水化物供給源と比べ、 おかずと一緒に食されることが多いので、自然と食事全体の栄養価のアップにつながります。
⑥大豆・大豆製品
大豆のほか豆腐や納豆、豆乳といった大豆加工食品は、火を通さずにそのまま食べられるものも多いため、手軽にタンパク質 を補うことができます。
⑦ヨーグルト
ヨーグルトには、 タンパク質やカルシウム、 腸内環境を整える乳酸菌などが含まれます。ヨーグルトは、乳糖不耐(乳糖の消化不良による腹部膨満や下痢などの症状)を起こしにくいとされ、牛乳が苦手な人にとっても取り入れやすい食品です(*12)。 朝食や間食にもおすすめで、果物との相性も良好です。
~キーワードは「こ・だ・く・さ・ん・だ・よ」~
なかなか覚えられないという人は、上記①~⑦それぞれの食材の頭文字や末尾をもじって「こ・だ・く・さ・ん・だ・よ」と覚えると良いでしょう。
●管理栄養士・成島真理さんのInstagramアカウント:@concetto_mari
*妊娠に向けて取り入れたい食事、妊娠中に注意したい食べ物、働く女性におすすめな食事など役立つ情報がもりだくさん。

1食当たりの目安量は?簡単に知る方法が知りたい
毎食、キッチンスケールを使って厳密に計算するのは大変なことなので、三日坊主になってしまう可能性も。そこで、自分の手の大きさ・厚みを使った「手ばかり」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
【主食】ごはん:軽く握った握りこぶし1個分
【主菜】肉や魚:手のひら大(厚み含む)
【副菜】野菜:(生)両手一杯、(加熱等でかさが減ったもの)片手一杯
~毎食野菜を摂るのは大変!そんな時は冷凍野菜を活用しよう~
「野菜を切って調理するのはめんどう…」という時は冷凍野菜の活用を検討してみてはいかがでしょうか。スーパーなどで販売されている冷凍野菜は、その野菜の旬の時期に収穫し、加工されることが多いので、おいしさ・栄養価の高さが期待できます。
「冷凍野菜って加工の工程で栄養が逃げないの?」との疑問が持たれがちですが、急速冷凍技術により栄養素の損失はとどめられると言われています。(*13)。 こうした便利なアイテムを活用しながら、健康的な食生活を実現していきましょう。
参考文献・サイト
*1 厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針~妊娠前から、健康なからだづくりを」(閲覧日2025-11)
*2 厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査結果の概要」(閲覧日2025-12)
*3 厚生労働省 健康日本 21アクション支援システム「炭水化物 / 糖質 | e-ヘルスネット」(閲覧日2025-12)
*4 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「たんぱく質 | e-ヘルスネット」(閲覧日2025-11)
*5 厚生労働省「妊娠前からはじめよう!健やかなからだづくりと食生活BOOK」(閲覧日2025-11)
*6 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「野菜1日350gで健康増進 - スマート・ライフ・プロジェクト」(閲覧日2025-11)
*7 文部科学省「食品成分データベース」(閲覧日2025-11)
厚生労働省「健康日本21アクション支援システム 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」(閲覧日2025-11)
*8 独立行政法人農畜産業振興機構「こまつなの需給動向」(閲覧日2025-11)
*9 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書(閲覧日2025-11)
*10 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「果物1日200gのすすめ - スマート・ライフ・プロジェクト」(閲覧日2025-11)
*11 農林水産省「aff」(20年8月号) (閲覧日2025-11)
*12 文部科学省「食品成分データベース」(閲覧日2025-11)
農林水産省「aff」(24年6月号)(閲覧日2025-11)
*13 農林水産省「aff」(21年7月号)(閲覧日2025-11)

【監修にご協力いただいた専門家】管理栄養士・成島真理(なりしま まり)先生
専門学校卒業後、委託給食会社に就職し、献立作成や調理等栄養士業務に従事。老人ホームや病院での経験を活かし、管理栄養士国家試験合格を機に女性専用フィットネススタジオに転職。
スタジオでのアドバイザー業務を経て、人事部教務課へ異動。新入社員研修や昇級研修を担当する傍ら、スタッフへ運動や栄養の知識向上を目指し、勉強会等を開催。
その後、個人事業主として専門学校の授業やヘルスケア関連企業のサポート、妊産婦やアスリート、ダイエッターの栄養相談等を実施。老若男女、健康な人から病者、妊産婦、アスリートなどそれぞれが取り組みやすいよりよい食事を提案し、健康づくり・パフォーマンス向上など個人の目的達成のために食の面からサポートしている。
また、プレコンセプションケアに関心を持ち、2022年10月より、慶應義塾大学SFC研究所健康情報コンソーシアムに個人会員として参画。




